アップルが「iOS 6」を発表、今秋提供へ


 アップルは、iPhoneやiPad向けOSの最新版「iOS 6」を発表した。まずは開発者向けにβ版の提供が開始された。一方、一般ユーザー向けには今秋より無料で提供される予定。いくつかの機能が新たに搭載されるが、日本でどの程度利用できるか、今後、あらためて明らかにされる見込み。

 主な新機能は、アップル自身が設計した「Maps」アプリ、Siriの拡充、Facebookの統合、iCloudを介した写真共有機能「Shared Photo Streams」、各種チケットをひとまとめに扱う「Passbook」となる。

 対応機種はiPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPad 2、iPad(第3世代)、iPod touch(第4世代)。

 「Maps」はこれまでグーグルマップを利用する形だったが、今回、アップル独自設計の地図アプリに刷新されることになった。ベクター形式で描画される地図は、拡大していくと細かな点までグラフィックとテキストが記されているとのことで、ナビとして利用する際は、進行方向を矢印で示しつつ、曲がるべき角にさしかかると音声案内も行われる。リアルタイムで交通状況を取得してナビに反映する機能や、3Dの俯瞰で地図を表示する機能なども用意される。もし曲がり角を間違えた場合は、自動的にルートが修正される。このほか、Flyoverと呼ばれる機能では、世界の主要都市においてヘリコプターから眺めるような視点で撮影した写真、あるいは3Dグラフィックで描かれた街並みを楽しめる。「Siri」による音声入力も可能で、目的地検索などが行える。このほか米国の口コミサイト「Yelp」の情報を利用し、飲食店情報をチェックすることもできる。

 「Siri」の拡充では、新たに「iPad」(第3世代)でも利用できるようになる。また、プロスポーツの試合の結果をすぐ確認できるようになる。野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、サッカー、ホッケーの情報に対応しており、米国の人気スポーツの情報が対象と見られる。また映画の上映情報の検索、米サイト「Yelp」対応の飲食店検索も可能。FacebookやTwitterに音声入力で投稿することもできる。音声でアプリを起動する機能もサポート。自動車メーカーとの協力により、自動車に据え付けて、ハンドルの「ボイスコマンドボタン」を押すとSiriで検索などが行えるようになる。このほか対応言語として韓国語や中国語(広東語含む)などに対応した。

 Facebookとの統合では、カメラやフォトアプリから、すぐ写真を投稿できるようになる。位置情報もMapsから登録可能。Siriで入力したテキスト投稿もできるとのこと。Facebook上のイベント情報は、カレンダーからもチェックできる。アドレス帳(コンタクト)とFacebookの連携も可能となり、友人のアドレス帳データ上からその人のFacebookアカウントをチェックできる。楽曲やアプリに対して「いいね!」(Like)を押して、Facebook上で友人に知らせることも可能となる。

 Shared Photo Streamsは、iCloud経由の写真共有機能。共有したい人とを選ぶだけで共有できる。フォトアプリで写真を選び、シェアボタンを押して共有先の人を選ぶ。共有すると通知センターで知らせが届く。友人やiCloudやiOS 6対応機器、Mac(Mountain Lion搭載)を利用していれば、その人のフォトアプリ、iPhotoに表示されるようになる。さらにApple TVでも共有した写真を見られる。アップル製品を使っていないユーザーはWeb上で共有写真を見る形になるという。共有した写真の容量は、iCloudのストレージを消費しない。Wi-Fiおよび携帯電話ネットワーク経由で利用できる。

 「Passbook」は、搭乗券、映画鑑賞券、店舗のメンバーカード、クーポンなどをひとまとめに扱えるアプリ。iPhoneやiPod touchから、航空券のチェックイン、コンサート会場の席の場所などを確認できる。

 Wi-Fi経由でのみ利用できるようになっていたテレビ電話機能「FaceTime」は、携帯電話ネットワーク経由でも利用できるようになる。このほかiPhoneにおける通話関連の新機能として、かかってきた電話に出られない場合、すぐにテキストメッセージを返信したり、あとでかけ直すよう自分自身へ知らせるリマインダーが利用したりできるようになる。また設定メニューに用意される「Do Not Disturb」から時間を選択すると、その間、限定した人からの電話のみ受ける、といった使い方ができるようになる。

 メールアプリは、重要なメールを抽出する「VIP」というボックスが用意される。写真や動画も手軽に添付できるようになる。ブラウザの「Safari」については、新たに「iCloud Tabs」が用意される。iCloudを経由して、Macbookなど他のデバイスで閲覧していたページの続きを、外出して移動中にiPhoneでチェックする、といた使い方ができる。リンクだけではなく、ページをキャッシュして閲覧できるようにする。

 このほか、使い方を紹介する「Guided Access」も追加される。またiPhoneなどを紛失した際に端末をロックしつつ位置を確認する機能では、拾った人がロック画面から持ち主の連絡先へ電話できる。友人や家族の間で位置情報を共有することもできる。iTunesストア、App Store、iBookstoreはリニューアルし、より手軽な操作で人気コンテンツへアクセスできる。チェックしたコンテンツは、その履歴が記録され、iCloud経由で他のデバイスとシェアできるため、iPhoneでチェックしてiPadで購入する、といった使い方もできる。中国のユーザーに向けた機能改善も追加されている。

(関口 聖)

2012/6/12 05:44