ドコモ、バカラとコラボした「SH-09C」


SH-09C

 NTTドコモは、バカラとコラボしたFOMA端末「SH-09C」を開発した。3月に、5000台限定で発売される予定。ドコモオンラインショップでのみ取り扱われ、ドコモユーザーだけが購入できる。価格は7万円程度になる見込み。ドコモでは3日、都内のバカラショールームで記者説明会を開催した。

 「SH-09C」は、バカラのカットや燭台をモチーフにしたフロントパネルなどを採用するモデル。スマートフォンではなく、回転2軸ヒンジの折りたたみ型フィーチャーフォンとなっている。2010年冬モデルの「SH-01C」がベースとなっており、防水・防塵(IPX5/7の防水、IP5Xの防塵)対応、フルHD動画撮影も可能な1410万画素CCDカメラ、HDMI、Wi-Fi、3.4インチディスプレイなど、ハードウェアの特徴は「SH-01C」と同等となる。


 バカラとのコラボレーションが反映された部分としては、フロントパネルやボディカラー、プリセットのメニューが挙げられる。クリスタルガラスで著名なバカラだが、落としてしまうこともたびたびある携帯電話ではガラスを用いることができない。そのため、「SH-09C」の外装はアクリル素材ではあるが、その透明なアクリル素材の下に配置されたテクスチャーは、角度によって、カットされたガラスのように光るデザインとなる。フロントパネル上には、バカラを象徴する燭台のイラストが配置され、端末を閉じると、ろうそくの炎に位置するイルミネーションがほんのわずかに灯る。着信時などでは、燭台の下にあるイルミネーションが光って通知する。ボディカラーは、バカラカットをイメージした“バカラレッド”と呼ばれ、深い赤色で統一され、光の加減によっては黒く見えるところもある。

 発売に合わせ、製造メーカーであるシャープのキャンペーンとして、発売から2カ月間、ネーム/メッセージ入りのリアカバーをプレゼントする。1行20文字、最大2行(計40文字)までのメッセージを刻印できるとのことで、選択できるフォントは明朝体(全角)かTimes New Roman(半角)となる。

 オンラインショップでの販売となるが、全国のバカラ直営店において2月4日~28日まで展示される。直営店は、丸の内、六本木、名古屋、大阪、梅田、広島で、直営のバー「B bar」は丸の内、六本木、梅田となる。広島店のみ、展示は2月5日からとなる。

贈りたいケータイとして

バカラの小川氏(左)とドコモの伊藤氏(右)
ドコモとしてのコンセプトを語った伊藤氏

 ユーザーが普段の生活で気に入っているものを携帯電話にも取り入れる――今回のバカラとのコラボは、そうしたドコモ側の狙いが背景にある。プレゼンテーションを行ったプロダクト部 ユーザーインターフェース企画担当部長の伊藤哲哉氏は、ユーザーが携帯電話を選ぶ上で、デザインが重要視されていると指摘。ただユーザーによって好みが異なるものであり、万人受けするものではなく、できるだけライフスタイルにマッチして愛着が持てるデザインを目指しているとする。

 バカラは、何らかの記念日にあわせてプレゼントされる品としても知られており、実際、バカラの調査によれば、購入された品のうち60%がギフト目的だという。今回のコラボによる“バカラケータイ”は、「シャンデリアや燭台のようなバカラのきらめき、そして歓びのかたち、光の魔法を手のひらに持っていただける商品」(伊藤氏)であり、記念日に大切な人へ贈呈する品と位置付けた。

 会見後の囲み取材では、幅広いユーザー層に向けた製品であることから、より多くのユーザーが得手不得手なく利用できるものとしてスマートフォンではなく、フィーチャーフォンとして提供することにしたと説明。またフルタッチパネル一辺倒になりがちなスマートフォンと比べ、折りたたみ型のフィーチャーフォンのほうがデザイン面でも手を加える余地があったと述べていた。

バカラの成り立ちなどを紹介する小川氏

 続いて登壇したバカラ パシフィック代表取締役社長の小川博氏は、バカラというブランドの成り立ちなどを紹介した。フランスのパリに本社を置くバカラは、パリの東、約400kmのロレーヌ地方にあるバカラ村において王立ガラス工場が1764年が設立されたことがきっかけで、フランス革命後の1816年から本格的なクリスタルグラスの製造がはじまった。今も同社製品はバカラ村で製造されているとのことで、職人は約650人。そのうち25人は、フランス版の人間国宝と言えるM.O.F.(Meilleurs Ouvriers de France)の受賞者だ。日本では1903年、大阪の古美術商だった春海藤次郎が輸入したことがきっかけで進出。春海はバカラに茶道具や懐石道具を製造させて使っていたとのことで、そのスタイルは“春海好み”と呼ばれた、という。1998年以降、バカラの売り上げのうち、日本はシェア30%(バカラパシフィック全体では38%)と世界一の市場となっており、最も重要な市場であるとした。1999年以来、東京の恵比寿ガーデンプレイスでは毎冬、バカラによるシャンデリアが披露されているとのことで、小川氏は「今年はバカラケータイでシャンデリアの写真を撮っていただける、そんな歓びの姿が見られれば嬉しい限り」と語っていた。




(関口 聖)

2011/2/3 14:14