みんなのケータイ

 SIMフリースマートフォンで大手キャリアと契約する人は余りいないと思いますが、もしかしたら、これをお読みのあなたのお役に立てるかもしれないと考え、ここに記録しておきます。

 筆者は、東京にある直営のソフトバンクショップにZenFone 2を持ち込んでSoftBank 4G/後払い方式の回線契約にトライしました。そして、結論をいえば、契約できました。

 ただ、SIMフリースマホを持ち込んで回線契約するにはいくつか条件がある、ということでお店の方から(しつこいくらいに)説明を受けました。

 まず、契約時にその回線で使う端末と料金支払いに使うクレジットカード(銀行引き落としの場合はキャッシュカード)をショップに持って行く必要があるのですが、さらに、その端末の技適マークが店頭で確認できることが条件となります。もちろん、ZenFone 2の電磁的表示で可です。IMEI番号もソフトバンクに登録する必要があります。

 それから、ドコモ、au以外から購入したスマートフォンは、ソフトバンクが「契約可能」と判断した機種でしか契約できません。例としては、ZenFone 2やNexus 5は可能ですが、海外で購入したSIMフリーiPhoneは不可なのだそうです(理由や、どのようにそれを見分けるのかについては聞きそびれましたが)。

 それと、SoftBank 4G回線を契約する場合は、2015年10月現在、スマ放題もしくはスマ放題ライトの契約が必須です。もちろん、料金は高くなってしまうものの、2年縛りなしのプランを選ぶことはできます。なお、これはSIMフリー契約でなくてもそうなのですが、契約から4カ月目の料金日以前に解約すると短期解約契約解除料が最大で1万5000円(税別)かかるので注意が必要です。2年縛りの場合は通常の解除料にプラスして1万5000円です。

 そして、SIMカードなのですが、SIMフリー端末(ロック解除したドコモ・au端末含む)を持ち込みでの回線契約する場合、専用のものを店舗に取り寄せしてもらう必要があります。

 商品名は「マルチUSIMカード(F)」、製品型番は「ZTWDK1」で、写真のように1枚で標準SIM、micro SIM、nano SIMいずれのサイズにもカットできるタイプのSIMです。SIMフリー端末を持ち込んで契約する場合、必ずこのSIMである必要があるのだそうなのですが、東京の直営店でも「初めて見ました」と言われるくらい、店員さんにも知られていないSIMのようです。筆者の場合、取り寄せをお願いしてから届くまで10営業日ほどかかりました。

SIMフリー端末をソフトバンクに持ち込み契約するには、「マルチUSIMカード(F)」を取り寄せてもらう必要がある。SIMフリー契約用のUSIMカードなのだそうだ
micro SIMサイズに切ってZenFone 2のスロット1に装着。これで電話はかけられ、APN設定をすればインターネットにも接続できるようにもなる

 APN設定などは筆者の場合、店舗のスタッフさんがやってくれたのですが(小一時間かかってました)が、同社の「他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する」にある通り、

APN名:plus.4g
ユーザー名:plus
パスワード:4g

で、「認証タイプ」や「APNタイプ」などの項目はZenFone 2の場合はデフォルト設定「未設定」のままで良いようです。S!メール(MMS)を送受信したい場合は、さらに

MMSC:http://mms-s
MMSプロキシ:andmms.plusacs.ne.jp
MMSポート:8080

を設定して、Google Playから「SoftBankメール」をインストールすることで利用できるようになりました。

APN設定は(基本的にはショップでやってくれるようだが)、ソフトバンクのWebサイトにある通り設定すればいい。SoftBnakメールをインストールすればキャリアメールも送受信できるようになる
SIMカード設定を見ると、ちゃんとSoftBank回線を使って、契約した電話番号も表示される。バッチリだ

 格安のMVNOの回線と、ソフトバンクのようなMNOの一番の大きな違いは、サービス内容ですね。ショップでわからないことを店員さんに相談できたり、端末が故障したときのために保証サービスを契約できたり、あるいは動画などのコンテンツ配信サービスを契約できたりするというのは、大きなメリットなのじゃないかと思います。

 しかし、SIMフリー端末持ち込み契約の場合、取り扱い方法についても故障対応などについてアフターサービスは「提供できません」ということです。となると、あとは追加契約サービス、たとえばコンテンツ配信サービスなどはどうなのか気になるでしょう。

 実は、筆者も最初、それを期待していたのです。というのも、筆者、アニメが好きでして、ソフトバンクの「アニメ放題」に加入してみたかったのです。

 いや、MVNOユーザーでも入れるサービス、たとえば、日本テレビ系列のアニメの追っかけ配信がある「Hulu」や、現在放送中の深夜アニメはかなりカバーできるドコモの「dアニメストア」などにも加入はしているのですが、それでも上記2つで配信していなくてソフトバンクの「アニメ放題」で配信しているコンテンツがあり、具体的には「ひだまりスケッチ」が最初の無印から、最新作の「ひだまりスケッチ ハニカム」まで全部配信されていたりするのです。筆者は、これを知って「おおおおお! これは契約したい! ゆのっちぃぃぃx!!!!!」と思ってしまったわけです。

 ですが、回線契約してから筆者は知ったのですが、残念ながら、この種の「回線契約者のみ契約可能なサービス」も、ソフトバンクの場合、ほとんど利用不可なのでした。

 ソフトバンク端末購入者でスマ放題を利用していれば無料で提供され、プロ野球の試合をほぼ全試合中継してくれる「パリーグLIVE」も、ミュージックビデオや音楽データを配信している「UULA」も、他のサイトではもう配信期間終わってそうな、ちょっと前のアニメのツボを押さえて配信しててる「アニメ放題」も、みーんなダメなのです。

SIMフリー端末持ち込み契約では「アニメ放題」を始め、付帯サービスの契約はほぼできないのでした。「UULA」「パリーグLIVE」「ブック放題」「App Pass」は全部ダメ
My SoftBankにソフトバンクショップの登録すらできません……。ここまでダメな理由、ちょっと知りたい気がするのですが

 いや、説明に「ソフトバンクのすべてのサービスについて動作保証できません」と説明があったのは確かなのですが、まさかここまで付帯サービスが制限されているとは、筆者も想定していませんでした。本当に、付帯サービスがほとんど制限されています。よく行くソフトバンクショップを登録する「マイソフトバンクショップ」の登録すらできません。かろうじて利用できるのは「Tポイントカードの登録」「位置ナビ」「待ちうた」程度です……。

 ということは、ソフトバンクに関して言えば、MVNOとの違いというか、回線契約するメリットとしてはキャリアメールが使える、電話かけ放題のプランが選べる程度ということになります。なので、それにMVNOとの差額を払える、という人でなければ持ち込み契約する意味はあまり無いのかも。今さらですが(苦笑)。本当に、本気で、「アニメ放題」を初めとする付帯サービスを契約したければ、SIMフリー端末持ち込みではなく、素直にキャリアの端末を買って回線契約すべきでしょう。

 考えてみれば、2シーズン分のBD BOX程度の端末台を払えば、ひだまりスケッチ全シリーズ視聴できる権利と、おまけに端末もついてくるわけです。しかたがない、ソフトバンク端末に機種変するかなぁ……。

※後日談:しました。した後で、「ひだまりスケッチ」全シリーズ、実はMVNOでも契約できる動画配信サービスのひとつ「バンダイチャンネル」で配信していることを知りました……。